嫌いな芸人1位ダウンタウンに見る大衆のS化現象

8.8.18

たまにがっつり宗教的な話をしようかとも思ったのですが、重いテーマでもあるのでまた今度にしようと思います。

この前フジテレビのワイドナショーを見ていたら好きな芸人と嫌いな芸人のランキングについて触れている場面があり、そのランキングではダウンタウンが好きな芸人3位で嫌いな芸人1位でした。

あとになって気になってどこのどういうランキングなのか調べてみたら、去年の週刊文春デジタル(ネット上の)のランキングだったみたいですね。

今年のは8月31日に投票が締め切られるみたいなのでまだわからないようです。

調べている間に松本人志さんが嫌いな芸人で20位というランキングはあったのですが、他にダウンタウンが嫌いな方に載っているランキングを見つけることはできませんでした。

それでいくと週刊文春のランキングが相当偏っているような気がしますね。

てっきりダウンタウンが嫌いな方に入るランキングというのはアンケートの取り方が雑で、街頭とかで走り去るサラリーマンに聞いて、邪魔くさいから適当に答えたとかならあるのかなと思っていたので、ネットでの投票とは思いませんでした。

逆にいうとすごく意外な結果だと思いました。

ダウンタウンを擁護している訳ではなくて、お笑い芸人がたくさんいる中で、わざわざダウンタウンを嫌いな方で選ぶという発想がちょっと理解し難いんですね。

おそらく嫌いな方でダウンタウンを選んだ人はお笑い芸人をあまり知らないんじゃないかなという気がします。

例えば、あなたが知っている全ての芸人の中から嫌いな芸人を選んで下さい、とちょっとだけ前置きしてあればそれだけでも答える芸人は違ってくるのではないでしょうか。

だって、極端にいえば犯罪を犯している芸人や何かトラブルを起こして謹慎している芸人や不倫していた芸人もいるのに、それよりも嫌いってことがあるんでしょうかね。

そうした問題を起こした芸人の中にダウンタウンを加えて、この中から1番嫌いな芸人を選んで下さいというのでも、結果は違ってくると思います。

要するにこのアンケートは答える側があまり考えていない、もしくはダウンタウンのアンチみたいな人たちがこぞって投票しただけで、そんなに世間の声を反映していないんじゃないかという気がします。

他にも若い世代が色んな番組に出ているダウンタウンをよく理解せずにただ嫌っているということもあるかもしれません。

それがビートたけしさんや明石家さんまさんくらいになるともう歳上すぎてどうでもよくなっていて、比較的まだ50代で若いダウンタウンに、これまでの歴史や経緯などを知らずにただ理解できないまま色んなテレビに出ているのを良く思っていないということなのかもしれません。

それ以外にももっと上の世代でもダウンタウンをよく思っていない層もいるとは思います。

でもその理由は結局、今の若い人たちでダウンタウンを理解していない理由とそんなに変わらないのかもしれません。

これは何なのかなと考えてみると、漠然と世間一般的な大衆の感覚がS化しているのではないかということが思い当たりました。

Sとはサディズムのことですね。

よく戦後の日本は左翼が強く、年月を経るにつれて右傾化しているといわれるところがありますが、情報化社会やSNSを通じて大衆がサディスト化しているという傾向があるのかもしれません。

皮肉なことに一昔前はSMの話はアブノーマルな世界のことなので一般的に避けられていましたが、気軽にSかMかなどを話せるような風潮にしていったのはダウンタウンであると見ています。

ちょっとでも自分と意見が合わなければ攻め立てるが、その指摘もまたツッコミどころ満載であることに気が付いていない、逆に論破されても認められずに現実逃避する、そんな緩いSをよく見かけるようになってきました。

SNSの限られた文字数などで手短に意見を述べれば、文字数制限によって省かれているであろうニュアンスのことは考慮せず、誤解されないように文章が長めになればわかりにくいという。

自分の意見と違えば平気で知らない相手でも噛み付いてくるが、噛み付いてる側の着眼点がいまいちすぎて討論にならない。

そんな光景をよく見かけるようになりました。

特に日本ではディベートの文化が根付いていないため、論破された側が将棋の詰みのようになっていても参りましたとはまず言ってくれません。

それどころか言い負かされれば今度は論点をずらして、人格攻撃に移行したりリアルの生活で何か変わったところはないかあら探しして指摘し始めることすら起こり得ます。

以前から論理的に物事を考えることの大切さについて触れてきましたが、現状では程遠く、おそらくこうしたS化現象は刻一刻と増しているように思います。

私は以前、不動産関係の仕事をしていたことがあるのですが、その時に面白い大家さんがいました。

私の年齢を聞いてきて、当時20代だったことがわかると、その年配の大家さんはこういったのです。

「最近、キレる30代が増えていると思いませんか?」

キレる若者ではなく、キレる30代が増えていないかとの質問に、私にしてみれば先輩や上司がそれくらいの年代だったりもしますし、仕事で関わる人にも多かったので、共感せざるを得ませんでした。

そのキレる30代が40代になり、50代になって日本中の企業などの組織の中核を担うようになってきています。

もちろん30歳になってから途端にキレやすくなるということではありませんが、20代30代に徐々に蓄積されたS化がより世の中を正論が通じないギスギスした歪んだ社会にしていくのです。

そして時には炎上という形で誰かが標的になり、また別の場所ではS同士での言葉の殴り合いが日常茶飯時になっていくのです。

もしかしたらあえてこのS化を受け止めるようなところにビジネスチャンスが生まれることもあるかもしれません。

正論が通じず、論破しても理解できないので基本的には何を言っても無駄です。

そこそこ賢いと思われるような人でもS化していることはよくあります。

そのためブームになるもの、ヒットするもの、これらが全く面白いものではなかったり、他のものの方が優れているということがよく起こります。

これもまた松本人志さんの言葉ですが、「今の世の中は幅跳びでちょうどいい距離を跳べる人が評価される時代」であり、本来は遠くに跳んだほうが勝ちなのに才能がない人の方が売れるということが色んな業界で起きています。

大衆の多くがS化し、その渦中にいるため気付いていないことの方がほとんどですが、おそらく100年後の未来の人たちが見たら、原始人に毛が生えた程度の人々にしか思われないかもしれません。

大衆に理解されるところに合わせるべきか、大衆が気付いていないニーズや理解を超えたところでやっていくのか、おそらくS化していない本来はまともでもっと評価されるべき人の方が余計な悩みを抱えていることになっていると思います。

そんな中で自らがSの中にいてそれが普通の人にとっては、自分がいいと思うことをやっていればそれだけで評価を得ることができるので天国かもしれません。

しかし世の中が本当にそんなに単純にできているとは思えない人、S化していないまともな人には今後も受難の時代が続くようです。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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