私がジョニ・ミッチェルを聴くきっかけになったのは、インタビューをほとんどしなかった頃のプリンスが尊敬しているミュージシャンの一人として名前を挙げていたことでした。
ちなみにその時に他に名前が上がっていたのはジミ・ヘンドリクスとレッドツェッペリンです。
どちらも聞きましたが、既に亡くなっていたり活動を休止していたこともあって、唯一現役で活動していたのはジョニ・ミッチェルだけでした。
私自身どういう経歴の方かはわからない部分が多かったので、今回記事を書くのにWikipediaなどの情報を少し調べてみました。
それによると1943年11月7日生まれで現在73歳。
近年は難病を患っているらしく闘病中とのことでした。
カナダ人であることはなんとなく知っていましたが、名前が本名じゃないことは意外と知りませんでした。
だいたい日本の芸能人でいうと堺正章くらいの年齢でしょうか。
全くわからない方のために念の為に書いておくと女性のシンガーソングライターの方です。
初期の頃はフォークソングが主になっています。
今回はその長年の活動歴の中で、たくさんのアルバムが発売されていることから、これからジョニ・ミッチェルを聴いてみようと思ってる方へおすすめの作品を3つ選んでみようと思います。
昔から聴いている人には定番すぎてちょっとつまらないかもしれませんが、一応自分なりの感想も書きながら紹介してみたいと思います。
(商品へのリンクはアフィリエイトになっています。わざわざそれを書く必要はないかもしれませんが黙っているのもあれなので一応お知らせしてみました。)
まず最初に紹介したいのは『Court and spark』です。
こちらは1974年のアルバムになっております。
ということは昭和でいうと昭和49年の作品ということになりますね。
生まれる前の出来事なので、こちらもネットでザッと調べてみましたが昭和49年といえば、昔の映像などで見かけることがある当時大流行したダッコちゃん人形が発売されたり、フィリピンで陸軍少尉だった小野田さんが帰国したり、ミスターこと長嶋茂雄が現役を引退した年のようです。
すごい昔のような感じもしますが、このアルバムを聴くとそんな時代にこの作品かと思うくらい洗練されてて驚くかと思います。
とりあえず1枚だけおすすめするとすればこれだと思ったので最初に紹介してみました。
アルバムと同じタイトルの1曲目から始まり、2曲目のヘルプミーから3曲目のFREE MAN IN PARISの流れがいいですね。
ヘルプといえばビートルズかもしれませんが、個人的にはジョニ・ミッチェルのヘルプミーです。
個人的にはジョニ・ミッチェルはアコースティックギターやピアノも上手なイメージがあるのですが、このアルバムを聴いてあらためて思ったのは歌もめちゃくちゃ上手い人なんだなとしみじみ思いました。
3曲目のFREE MAN IN PARIS(邦題はパリの自由人)は日本のカラオケにも入ってるところがあって、いつだったか誰もいない時に試しに入れてみたのですが、とんでもなく難しくて全く歌えませんでした。
聴くのと実際に歌うのでは大違いで、それはわかるかと思いますが、この方の曲は一見そんな風に聴こえないのに、めちゃくちゃ難しいという感じです。
他にもいつ息継ぎしてるんだというくらいずっと歌い続けているような曲もありますね。
このアルバムを聴いて気に入ったら他のも聴いてみる感じがいいのではないでしょうか。
次におすすめしたいのは『BLUE』です。
こちらは1971年、昭和でいったら昭和46年のアルバムになります。
これが4THアルバムになり、1~3作目のアルバムがほぼフォークソングのみだったのに比べると少し曲調に幅が出てくる感じになってきます。
それでもアコースティックギターと歌だけだったり、ピアノと歌だけだったりする曲ばかりですが、それでも色彩の豊かさとでもいうのでしょうか、シンプルなのにとても奥深い感じがする曲が多いです。
ちなみに10年位前にジョニミッチェルのトリビュートアルバムが発売されているのですが、その中でプリンスがカバーしているA CASE OF YOUという曲はこのブルーというアルバムに収録されている曲です。
おそらく発売時期的に考えると、当時中学生くらいだったプリンスがこれを聴いて影響を受けたのではないかと想像しています。
こちらもその年に起きた出来事を調べてみると、前年に自決した三島由紀夫の葬儀が行われたり、ニクソンショックが起きた年のようです。
新婚さんいらっしゃいもこの時から始まったそうなので逆にそっちの方がすごくて霞んでしまいそうなエピソードですがあえて記載することにしました。
このアルバムもそんな時代に作られたとは思えないくらい古さは感じないですね。
シンプルなものを聴きたいという方はこのアルバムから聴くのもいいかもしれません。
最後におすすめしたいのは
『夏草の誘い(洋題はThe Hissing of Summer Lawns )』です。
このアルバムは私が初めて買って聴いたジョニ・ミッチェルの作品になります。
こちらは1975年のアルバムになります。
自分でも覚えていないのですがなぜかこのアルバムを迷うことなく買った記憶があります。
もしかしたら当時はネットの通販とかもなかったと思うので、CD屋さんに行ったら品揃えが悪くてこれしかなかったか、なんとなくジャケットで選んで買ったのかもしれません。
それこそ当時はネットで情報を調べたりできなかったため、個人的にはもし最初に買ったのがこれ以外の作品だった場合に、その後もジョニ・ミッチェルの作品を聴いていたかは自信がありません。
最初に聴いたのが上記に挙げた他の2枚のアルバムだったらまだ可能性はあったかもしれませんが、それ以外のアルバムはこれらのアルバムを聴いてから聴くのがいいかなと思っています。
そういう意味では何の情報もなく不思議な巡り合わせだった気がします。
これも昭和50年とは思えない程、洗練された曲が多いですね。
ただ1曲目の軽快なロックミュージックからだんだんトーンダウンし、2曲目も当時としては結構な実験的な感じの曲へと続き、3曲目以降は悲哀に満ちたなんともいえない暗鬱とした曲調のものが多いです。
これを買ったのが初夏の頃で、なんというか聴いていて体感温度が下がるような涼しげな曲が多いですね。
小説でいうと太宰治の作品を読んだような感じ(あくまでも個人的な感想ですが)に近いかなと思います。
おそらく以前プリンスがインタビューで、ジョニ・ミッチェルの曲は色彩が豊かで好きだけど、一方で悲壮感や暗鬱とした曲調のものはあんまり好きじゃない(うろ覚えなので大雑把にこんなようなことを言ったくらいに思って頂けるといいです)と言っていたのは主にこのアルバムのことを指していたんじゃないかと予想しています。
それでもアルバム全体を通して、曲自体はどれもそれこそ豊かな表現がなされていて、じっくり聴くのにいいかなと思っています。
他にもおすすめのアルバムはありますが、今回は3作品までにしたいかと思います。
最後にアルバム以外にもジョニ・ミッチェルについて思うことを書いてみたいと思います。
最近はiTunesなどで曲を買ったりしてしまいますが、CDを購入すると中には音楽ライターの書評や説明などがあって、ネットのない時代にはその短い文面から貴重な情報を得ていたこともあるかと思います。
多分そこで読んだと思うのですが、ジョニ・ミッチェルは海外ではミュージシャンズミュージシャンと呼ばれていることもあるらしく、要するにプロのミュージシャンが聴くミュージシャンという意味のようです。
確かにそれくらい完成度が高い作品が多く、女性という括り方が正しいかどうかはわかりませんが、私は今のところ女性の中では一番の天才だと思っています。
音楽で天才といえば私はプリンスファンなのでもちろんプリンスだと思うのですが、プリンスの天才というのは個人的には2種類あると思っていて、1つは発想やひらめきであったり(主にアルバムの最初の曲にあるような斬新なもの)、もう1つはたくさんの楽器を演奏する経験から生み出される身体が作る作品(主にハウスクエイクなど頭の中では思いつかなさそうな作品)があると思うのですが、ジョニ・ミッチェルに関してはそれとはまた別の種類の天才だと思っています。
正直にいうと、ジョニ・ミッチェルがどういうプロセスで曲を作っているのか理解できない感じです。
どうすればああいう曲が作れるのかよくわからないのです。
これは想像に過ぎませんが、おそらくジョニ・ミッチェルは自身のアルバムの表紙に自画像を採用していることもあるので、絵も上手で、曲作りも絵画や彫刻のように芸術作品を作るようなプロセスで行われているのではないかと想像しています。
油絵に絵の具の色を付け加えるように、または彫刻を削り出すように、曲のコンセプトや歌詞を先に作って、それから世界観を合わせるような感じで、試行錯誤しながら制作しているのではないでしょうか。
あとはカナダ人であるというアイデンティティーもどこか自然との調和を意識している要素の1つかもしれないですね。
だからこそ独特な感性のものに仕上がるのだと思うし、それがきっと多くのミュージシャンの心を掴んでいるのだと思います。
現在は闘病中とのでしたが、過去のアルバムを聴きながら、今後の活動再開を願いつつ、今回はこの辺で終わりにしたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
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