黒澤明と武満徹2

10.7.17

 前回の記事『黒澤明と武満徹1』の続きになり完結となります。

 前回は黒澤明(呼び捨ての表記にしていますがご容赦下さい)を中心に書きましたので、今回は武満徹の方を主に書いていきたいと思いますので、武満徹についてのみ読みたい方はこの記事だけでも大丈夫なように書いていきます。

 武満徹に関しては、もしかしたらどこかで聞いていたかもしれないけれど、作曲者として意識して聴くよりも前に先に本で読んでいたことがあります。

 それが地元の図書館にあった本で、どうしてわざわざ知らない作曲家の本を手に取って読んだのかはよく覚えていないのですが、おそらく当時は大江健三郎の小説を読んだあとに小説以外のエッセイ集などの著作も読んでいて、そこで生前の映画監督の伊丹十三さんや武満徹と交流があったことが書いてあったと思うので、それで名前を知っていたのかもしれません。

 その本なのですが、内容は武満徹の伝記のような感じだったと思うのですが、タイトルを忘れてしまって、アマゾンで探してもどれかわかりませんでした。

 それでも内容は覚えているので本を読めばどれか思い出せるとは思うのですが、そこに書いてあったのは武満徹は割りと苦労をされて作曲家になったということでした。

 環境に恵まれなかったため、音楽は独学で勉強されたようですし、ピアノがないため誰かの家にいって借りて作曲についても学んでいたようです。

 そこで武満徹が映画音楽も手掛けていて、黒澤映画にも何度も携わっていることを知りました。

 そして、その後に私が若かりし頃に、友人の家が商売を辞めて、その店舗の一部を改装して友人の部屋になり、気兼ねなく友人同士が集まって映画を見るという、単純にいうと溜まり場みたいなところができたという状況がありました。

 各々が好きな映画を借りてその友人の家で見せ合うみたいなことをしていた時期があったんですね。

 私自身は映画に詳しい訳ではなかったのでその友人から初めて「ニューシネマパラダイス」という王道の普及の名作を教えてもらって見ることにもなりました。

 その頃に、友人も黒澤映画が好きで『七人の侍』や『椿三十郎』や『赤ひげ』(リンク先はアマゾンのアフィリエイトになっていますのでご了承下さい)などの時代劇ものが特に気に入っていたようでいくつか見ることになりました。

 後者の2作品には確か若い頃の田中邦衛や加山雄三も出ていたような気がします。

 まあそんな感じの若者のノリみたいな(渋い若者かもしれませんが)流れで、私はある日CD屋さんで黒澤映画に使われている映画のサウンドトラック集のようなCDを見つけて思わず購入することにしました。

 それが『KUROSAWA~THE FILM MUSIC OF AKIRA KUROSAWA~』です。

 1曲目から七人の侍のテーマ曲が入っていますし、他の名作の映画音楽の曲も収録されています。

 当時、このCDを車の中で掛けたら若者のノリで大ウケして盛り上がった記憶がありますが、その友人に貸したまま帰って来ず、いわゆる借りパクされてしまったので、せめてパソコンに入れてたら今でも聴けたのに残念な気がします。

 その借りパクされる前に私が気に入って何度もリピートして聴いていたのが12曲目に入っている『どですかでん』のテーマ曲でした。

 この映画の音楽は武満徹の作品になります。

 そのため私が武満徹の作品を映画で見る前にCDで音楽で聴き、それよりも前に伝記のような本を先に読んでいるという、ちょっと変わった順番で知ることとなりました。

 これは黒澤明の初めてのカラー映像の作品となり、賛否はあるかもしれませんが、私が映画を見て鳥肌が立ったシーンがあり、興味深い作品の一つだと思っています。

 その鳥肌が立ったシーンというのは冒頭の方で、ちょっと風変わりな青年(映画を見た方はわかると思いますが言い方が難しい)が自宅に戻った時に様々な電車の絵が壁一面に貼られている場面です。

 前回の記事でも書きましたが、黒澤明の作品に向けられている情熱は今ではあり得ない程すさまじいもので、電車の車窓から数秒だけ遠くに見える民家が邪魔だということで住民を説得して取り壊したという有名な逸話があります。

 これは私個人の何の根拠もない見解ですが、この作品でも様々な電車の絵がたくさん並んでいますが、おそらくそれぞれの絵の配置がベストになる組み合わせになるようにものすごい試行錯誤がされているのではないかと思っているのです。

 初のカラー映像の作品でもありますし、色の配色から何から全てをきっちりと、この絵の隣はこの絵の方がいいとか、この絵の下の絵をあそこの絵と交換しろとか、多分ものすごくこだわった配置になっているんだと予想しています。

 だからそのシーンをチラッと見ただけで、その並々ならぬ試行錯誤とこだわりが垣間見えたような気がして、ゾクッと鳥肌が立ったんだと思います。

 そのような経緯から(CDを借りパクされたということも含めて)再び映画のサントラを聴いてみたいと思うようになり、せっかくなら武満徹の他の作品も聴いてみることにしました。

 そこで購入したのが『武満徹の世界』です。

 このCDには1曲目からその曲が入っていますし、他の映画のサントラも収録されていてとても聞き応えがあります。

 その後もクラシックのものも多数聴いたのですが、とりあえずは映画音楽から聴き始めた方が入り口としては聴きやすいかと思います。

 もう一つ入門編として超おすすめのCDがもう一枚あります。

 明日ハ晴レカナ、曇リカナ』です。

 これは合唱曲集なので一見とっつきにくいように思われるかもしれませんが、日本人には馴染みの深い「さくら」が一曲目から入っていますし、そのあとも詩人の谷川俊太郎の詩に曲を付けたものもありますので是非聴いてみて欲しいと思います。

 きっかけはネットでたまたまこのCDの8曲目に入っている「島へ」を聴いたからなのですが、合唱曲でこれほどまでに繊細で豊かな曲を聴いたことがなかったので、これが収録されているCDを探して購入したという感じでした。

 おそらく表紙が私が持っているのと違うので現在発売されている物はリニューアル版だと思うのですが、収録されている曲などは全く同じため、当時のものがそのまま収録されていると思います。

 その後は洋楽だけではなく武満徹の音楽や映画音楽を聴いていた時期があり、『ゴダール作品集』や『ニューシネマパラダイス』のサントラCDも好んで聴いてたりもしました。

 ニューシネマパラダイスのサントラCDは私が持っているのとは違いますが、おそらくリンク先の完全版の方が収録曲や音質がいいと思いますので(初期のCDは心なしか音が小さい)、自分が持っていない方のをおすすめしてみました。

 武満徹の音楽を聴いていると日本にもこんなに優れた作曲家がいたのかという感じで、もっと評価されてもいいのではないかなと思ったりもします。

 もちろん映画界や音楽界では世界的にも高い評価はされているとは思うのですが、もっと日本での評価というか、若い世代の人もその名前を知っているくらい有名であってもいいのではないかなと思ったりします。

 これは賛同してくれる人はいないとは思いますが武満徹は私が尊敬するアーティストであるプリンスにもなんとなく見た目も似ていると思うことがあります。

 なんとなく独特な芸術家の気質というか、いい表現ではないかもしれませんが偏屈そうで、あまのじゃくっぽい雰囲気がして、それが共通しているかなという感じです。

 長くなりそうだったので今回の記事は2回に分けて投稿しましたが、この二人の巨匠の作品が現在でも視聴することができるのですから、機会がありましたら是非ともご覧頂きたく、その入門編のような解説も含めて、おすすめの作品などを紹介してみました。

 参考にして頂けると幸いです。

 今回はこの辺で終わりにしたいと思います。

 最後までお読み頂きありがとうございます。

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