今回は言わずと知れた映画監督の巨匠、黒澤明監督と、そのクロサワ映画の映画音楽などの作曲家としても知られている武満徹さんについて書いてみようと思います。
とはいえ、あまりマニアックな内容になってしまってもいけないかと思いましたので、入門編になるような情報や、個人的にどのような経緯でこの両巨匠の作品と出会った思い出の話などについて書いてみたいと思います。
まず黒澤明監督は世界のクロサワと呼ばれていることもあって、作品は見たことがなくても名前を知っている方は多いと思います。
私が多分、一番最初に黒澤明(以下、武満徹さんを含めて呼び捨ての表記になりますがご容赦下さい)の作品に興味を持ったのは『まあだだよ』だったと思います(リンクはアマゾンのアフィリエイトになっていて、今回はたくさん貼る予定なのでご了承下さい)。
晩年の作品になりますが、なぜ興味を持ったかというと、単純にたまたまテレビを見ていたら、この映画のメイキングの特集をしている番組を見たからだったと思います。
タレントの所ジョージさんが主演というのも意外な感じがして興味を持ったきっかけになったと思います。
ちなみに私の記憶が確かであれば、所ジョージさんをキャスティングしたのは監督の黒澤明の意向で、黒澤明が所ジョージのファンだったのがその理由だったと思います。
映画館では見ていませんが(多分、地元ではやってなかったと思う)、割りと早い段階でレンタルビデオで見たかテレビで放送しているのを録画して見たのですが、まだ10代だった私は、ちょっとなんというか静か過ぎて映画を見ているという感じがそれまでと比べてあまり実感が湧かないような感じで、おそらく初めて映画を見ながら眠ってしまったのはこの作品だったような気がします。
その後、20代の頃にもう一度、既にレンタルDVDだったと思いますが見直してみたところ、味があって良かったのを覚えています。
内容を簡単に説明すると、主演の所ジョージさんの学生時代の恩師が年老いている様子や晩年を描いている部分もあるのですが、それが黒澤監督自身の晩年を思わせるような独特な雰囲気があって何とも味わいがあるという感じの作品になっていると思います。
話は戻って、もしかするとこっちの方が先に見たかもしれないのが『羅生門』です。
これは中学の時に国語の授業で芥川龍之介の「トロッコ」を読んでいて、その後に小説の「羅生門」を読んでいたので、映画にも興味を持っていたというのがありました。
ところがレンタルビデオで借りてきた映像はビデオテープが劣化していて見辛かったのと、モノクロ映画にも馴染みがなく、かなり冒頭の方で見るのをやめてしまった記憶があります。
これも20代の頃にレンタルDVDで見返すと、主演の三船敏郎さんの演技が印象に残っている味わい深い作品になっていると思います。
ただ私には1つ疑問に思っていることがあって、知っている方はそんなしょうもないこと言うなと思われるかもしれないのですが、これって芥川龍之介の「藪の中」の映像化ですよね。
両方の小説を読んでいた私にはなんかそこの部分だけ腑に落ちないというのが正直な気持ちとして残っています。
映画の作品自体はもちろん素晴らしいものだと思っているので、そこだけが少し引っかかっています。
こうしてみると、黒澤映画と自分の出会いというのは、自分が10代だったというのもあるかもしれませんが、最初は寝てしまったり途中で見るのをやめてしまったりとあまり良い感じのものではなかったかもしれません。
実をいうと、これも邪道だと思われるかもしれませんが、私が黒澤作品にはまったのはレンタルDVDになって、セリフを字幕で表示することができるようになったというのが大きいです。
私は黒澤明の自伝(正確には自伝のようなもの、と記されていますが)「蝦蟇の油」を読んでいるのですが、その中で三船敏郎についての記述があり納得した部分があります。
黒澤明はもちろん何度も主演に抜擢していますから三船敏郎を高く評価しているのは間違いないのですが、唯一の欠点として滑舌が悪いというようなことが書いてありました。
私はこれには思わず納得してしまいましたし、本当に何を言っているのかわからない時があり、映画の内容が理解できないことがあったため、これが黒澤映画からちょっと離れてしまっていた原因だったのではないかと思い当たる部分がありました。
そこでレンタルDVDで見るようになってからはあえて日本語の字幕を表示して、セリフを見ながら視聴することになり、そこで黒澤映画は映像だけではなくシナリオや脚本などの物語の部分も面白いということに気が付くことになりました。
ちなみに三船敏郎さんの滑舌が悪いなと特に思ったのは『白痴』で、主演ではないのですが、「何言ってやがんだい!」のセリフの部分が印象に残っています。
あと三船敏郎は出演していませんが、日本語の字幕を表示して良かったと思ったのは『生きる』ですね。
特にお葬式のシーンで、葬儀に参列している方たちがあれこれ語り合う場面があるのですが、この時のセリフや内容が文学作品クラスの難しい話の連続で、字幕にして読まないと何を言ってるのか理解できなかったと思います。
ちなみに関係のない話ですが当時バイトしていた先の社員が研修で必ず見させられるのがこの作品だったようで、私がそれを知らずに黒澤映画の話をしていた時に、じゃあこれも見たことあるかと聞かれたことがありました。
私は字幕で見ていますから内容も理解しているつもりですし、面白かったと答えたのですが、どうやら社員の人たちはこの作品を見せられるのが苦痛だったらしくて、若いころの菅井きんが出ている意外はまるで興味がなかった感じのことを言われました。
個人的には主演の志村喬さんの演技こそ見て欲しかったですね。
亡くなっている俳優さんを含めれば、今のところ私が一番好きな俳優は志村喬でしょうかね。
生きている俳優さんだと好きな俳優はしばらくいなかったのですが、海外ドラマの「CSIマイアミ」にホレイショ役で出ていたデヴィット・カルーソさんやドラマに出ている時の梅沢富美男さんがいいと思っています。
他に印象に残っている作品では『野良犬』では老刑事役の志村喬さんが若手の刑事役である三船敏郎に向かって「最近の若い奴は」みたいなセリフを言っていたと思うのですが、これが1949年の作品で、今から70年近く前でもそんなこと言ってたんだと感慨深く思ったのを覚えています。
あとその作品だと思うのですが、黒澤明の伝説的な逸話の1つとして、電車から見える車窓のシーンで、1軒の民家が気に入らないため、住民を説得した上で建物を取り壊したという有名な話があるのですが、事前にそのシーンのビフォーアフターをビートたけしが出ているテレビ番組で見ていたにも関わらず、実際に映画で見てもあまり気にならなかったというか、気が付かなかったこともあります。
今回は長くなりそうなので、記事を2つに分けてお届けすることにしました。
次回は武満徹さんを中心に書く予定です。
最後までお読み頂きありがとうございます。
続きは次の記事になっていますが『黒澤明と武満徹2』こちらからでも読むことができますのでリンクをクリックしてご覧下さい。
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