女優、深浦加奈子さんの思い出
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17.7.17
今回は2008年に癌で亡くなられた女優の深浦加奈子さんの思い出について書いてみようと思います。もちろん直接的な知り合いではありませんし、会ったというよりも偶然一度だけお見かけしたことがある程度なのですが、その時のことが今でも印象に残っているので書いてみようと思いました。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが深浦加奈子さんは名脇役としても知られていて、小姑役やお局役などをされていることが多かった印象があります。
個人的にはナースのお仕事や科捜研の女に出演されていたのを見ていた覚えがあります。
ちょっとその前に話がそれますが、今回は自分がこれまで経験してきた中で一番簡単で楽だったアルバイトについても書く予定で、その時の仕事がその思い出話のエピソードと関わって来ますのでご了承下さい。
あまり詳しく書いてしまうと私自身が特定されてしまう可能性があるので、少しうやむやにして書きますが、私はある時、交通誘導員のアルバイトをしていました。
そんなある日、しばらく1ヶ月から2ヶ月くらいの間だと思いますが、同じ現場に派遣されることになりました。
そこは当時私が住んでいたところから歩いて5分もかからない場所にある公園でした。
その公園で結構な規模の造園工事が行われていて、その造園する業者の車両の出入りを交通誘導する訳です。
ところが納期の都合なのか作業時間の都合なのかわかりませんが、私が現場につく頃にはほぼ毎日、既に作業用のトラック等は既に公園内に入っていて、それは造園業者の人たちが自分たちで誘導して中に入れているようでした。
一応、そのために何分か早く来ましょうか、という話もしたのですが、造園業者の人たちはこっちの都合で早く作業を始めてるだけだから気にせずに時間通りに来ていいと言われ、その言葉に甘える形になりました。
そのため車両移動のために交通誘導をするのは特殊な工事の過程で稀に別の業者のトラックが来る場合か、その日の作業を終えて帰る時しかありませんでした。
しかもそこにあてがわれた交通誘導員が私ともう一人いて、私はほとんど経験がなく、もう一人が経験豊富な先輩だったため、そうした場合でも誘導するのは先輩がすることがほとんどでした。
なのでほとんど現場に行ってもすることがありませんでした。
公園内のため、車が通ることはありません。
工事現場の方は行き止まりになっているため、そこに歩行者や自転車に乗った人がやって来たら迂回するように伝えるのがその場所での私の主な仕事なのですが、すごく大きくてわかりやすい看板が立っていて、ほとんどの人はその看板を見て勝手に迂回してくれています。
私はイヤホンをしてうつむいている人や勢いよく自転車を飛ばしてる人のような、ごく稀に看板を見逃した人だけを誘導するだけでした。
一緒にいた先輩がさすがにこれでは申し訳ないということで、落ち葉を集めたり一部ごみ拾いなどをしようということになり、それがだんだん公園の清掃員の人と仲良くなったり、近所の人が世間話をしにやってくるという特殊な感じになってきました。
だんだん工事中であることがわかってきて、看板を見逃してくる人もあまりいなくなって来ました。
あまりにもすることがないため近所の方が持って来てくれた差し入れのジュースを飲んだり、その近所の人の猫が公園に逃げ込んだのではないかと言われて探しにいったこともありました。
そこで一つ、ちょっと怖いエピソードがありました。
その猫の特徴を聞いても似たような種類の野良猫が何匹かいるためわからないことをその近所のおばさんに伝えたところ、猫の写真を持ってくるという話になりました。
その後、そのおばさんが写真を持ってきたのですが、その写真を見た先輩が一瞬、悲鳴のような声をあげた後、何事もなかったかのように冷静さを装って、私の耳元でつぶやきました。
「写真の日付見てごらんよ。」
当時はデジカメではないので、昔の右下の方にカメラの機能で日付が記載されているのを覚えている方もいらっしゃるかと思います。
私は何のことかよくわからないままその日付を見てみると、それは20年くらい前の写真でした。
いつも飲み物などを持ってきてくれる、感じの良いおばさんだったこともあり、特に仲が良さそうだった先輩はショックを受けていたようでしたし、私も少しショックでした。
なんかその写真は猫だけで、誰も写っていなかったけど、家の中の雰囲気がなんとなく旦那さんや子供もいて幸せそうな感じが見て取れる様子だっただけに、何かこう逆に当時の記憶の中に閉じ込もってしまった年配の女性というちょっとした狂気のようなものを感じたことが印象に残っています。
他にも昼間からお酒を飲んで酔っぱらっている人の愚痴を聞いたりと仕事に関係ないことが結構ありましたね。
あと当時は2002年の日韓合同のワールドカップよりも何年か前の出来事なのですが、公園内にある施設でワールドカップ関連の会議があったのを覚えています。
その後、札幌ドームが完成したり札幌ドームも会場として使用されたようなので、当時はなんでわざわざ北海道で会議するのかなと思ったけど今思えば既定路線だったんだろうと思います。
話が大分それましたが、そんなある日のことです。
その自分がいた公園でドラマのロケが行われるということでした。
ところがそれは自分たちがいる造園工事中の場所からは離れた場所で撮影が行われるのと、その日は別の業者のトラックの出入りが予定されていたため、持ち場を離れて見に行くことはできませんでした。
当時、私は部屋にあえてテレビを置かずに全く見ないで生活していたため、どこの何のドラマなのかはよくわかりませんでしたし、他の作業員がこっそり撮影現場を見に行ったらしいのですが名前を聞いても知らない俳優ばかりでした。
そうこうしている間に撮影が終わり、俳優やスタッフの方たちがちょっとの間だけ休憩するのに、先程のワールドカップの会議などが行われた建物に入っていきました。
その建物は私がいる持ち場の近くでした。
それで何人か建物の中に入っていったのですが、この時の記憶が全然ないので、おそらくタイミング悪くトラックの出入りに付きっきりでそれも見ていなかったのかもしれません。
するとその建物の前に一台のワゴン車が停まっていて、中に何人か乗り込んでいるのが見えました。
その車が通り過ぎる時に、後部座席に座っていたのが女優の深浦加奈子さんで、なんと驚いたことに、深浦さんの方からなぜか私の方に向かって手を振ってきたのです。
私の周囲には先輩や、その建物の管理者や、公園の清掃員もいたかもしれないので、勘違いかもしれませんが、いずれにしても深浦さんの方から手を振ってきたので、私も手を振り返しました。
それがすごい満面の笑みというか、幸せそうな感じがして、ドラマでは職場のお局様的な役柄を演じることが多かったのでギャップを感じましたし、目の前で見るといつもの役でのいじわるそうなイメージと違って美人に見えたのを覚えています。
もしかすると、公園には元々の公園の警備員がいたので、撮影中は野次馬が入り込まないようにするなどして、ロケが円滑に進むようにしてくれていて、深浦さんは交通誘導員の格好している私を公園の警備員と見間違えただけかもしれません。
それでも芸能人の方から笑みを浮かべて手を振ってくれるなんて、中々できないことだと思います。
その後もテレビで見かける時があれば懐かしさとともにあの満面の笑みを思い出してしまいます。
あの時はまだお身体の方も健康だったのではないかと思うのですが、その後に若くして癌を患い、他界された時にはとても悲しい気持ちになりました。
住んでいる場所柄、あまり芸能人を見かける機会はなく、あっても嫌な記憶(ここでは書きませんが)くらいしかなかったため、それだけに今でも深浦加奈子さんを、ほんの数秒しかすれ違っていないはずなのに、いい思い出として記憶に残っています。
亡くなられて既に9年程が経っているため、今からいうのは変かもしれませんが、当時の気持ちを踏まえつつ、哀悼の意を表したいと思います。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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