その会社は携帯ショップで、その時に自分が持っていた携帯電話はそのお店で契約したものを使っていました。
田舎なのでほとんどの人は車を利用しますが、その会社がある場所は立地条件が良さそうで、車のない学生さんや携帯ショップがないくらいもっと地方の方も契約しに来れそうなところだったのです。
自分が利用した時も特に店員の態度が気になったことはありませんし、むしろ親切な方かなと思っていました。
ただ面接を受ける際にとても違和感を感じました。
まず履歴書を郵送か、面接日の前日までに直接そのお店に持って行くかしないといけないのですが、私が職安経由でそこを受けることになったのは面接の前日だったため持参する選択肢しかありませんでした。
それは全然構わないのですが、急いで履歴書を書いて持って行った時のことです。
お店の中にはお客さんが一人いて店員も一人で対応していました。
私は邪魔してはいけないと思って、後ろの方で待っていたのですが、店員から何の用で来たか聞かれたので答えると、お客さんの方を待たせて、面接の時間や用意してきて欲しいものなどを延々と説明し始めました。
私がそこの従業員ではないので何も言う必要はないのですが、その間にお客さんは待ちくたびれて机の上に寄りかかったまま眠ってしまいました。
話を聞き終えて、家に帰ってからその会社のホームページを確認すると、お店のブログがありました。
一応、目を通して明日の面接の時にでも話そうと思って見てみると、一年以上更新されていませんでした。
そして次の日の朝、面接の時間よりも少し早く到着すると、既に同じく面接に来た人が何人か待っていました。
しかしお店は閉ざされたままです。
扉の向こうでは朝礼みたいなのが始まっていました。
結局それが終わった頃には面接の予定時間を過ぎていました。
余裕を持ってやってきた人も時間に遅れてやってきた人もみんなお店の前で待っている状態です。
そこは人通りが多いところなので、通り行く人々には朝早くから何かしらの理由でそこそこの人数の大人を待たせている会社だと見られていたかもしれません。
雨は降っていませんでしたが、屋根がないため雨が降っていたら傘を差して待っていなければいけなかったと思います。
そして、やっとお店の扉が開くと、みんな中に通されました。
特に何の説明もなく、順番が来たら名前を呼ぶので隣のホテルのロビーにある喫茶店に来て下さいということでした。
その間テレビの前で座ってみんな待たされていたのですが、なぜかビデオデッキに録画してあるサッカーの試合が再生されています。
名前を呼ばれた人がどんどんいなくなっていき、多分、申し込み順だったと思うのですが私は最後の方だったと思います。
呼ばれた方はそのままお店には戻らずに帰っていったようです。
待っている間、私は面接で何を言おうか、こう聞かれたらこう答えようなどと考えていました。
元々サッカーに興味がなかったためテレビ画面を見ることはそれほどありませんでしたが、この映像に何か関係のあることを質問されてもいけないと思って、たまにちらっと見る程度でした。
確か世界大会でどっちかがブラジルだったのは覚えています。
そして私の順番が来ました。
お店を出て隣のホテルにある喫茶店へと向かいます。
その面接官は、私が携帯電話を契約した時に何度か対応してくれた方で、そのお店の店長ということがわかりました。
そこで店長が好きなものを頼んでいいということでしたので私は普通のホットコーヒーを注文しました。
何を注文したや砂糖を入れるかどうかまで何か用紙に書き込んでいたようでした。
私がブラックのままコーヒーを飲むと、砂糖やミルクを入れないのかと聞かれたと思いますが、確か私はそれをきっかけに履歴書にも書いてある喫茶店での職歴の話を切り出したような記憶があります。
他にも車はどこに停めたか聞かれました。
そのお店の駐車場は車が3台ほどしか停められなかったのを、私がお客さんで来た時に知っていたので、当日はお店から少し遠いところに停めて歩いて来たのですが、どうやら車で来たのに駐車場の有無を確認をしなかったのはいけないことだったようでした。
直接は言われませんでしたが、溜め息を付いて何かその用紙に書き込んでいたので、きっとマイナスの評価でもされたんだろうと思います。
それからも面接はいわゆる圧迫面接まではいかないと思いますが、そこそこ横柄な態度で行われていました。
お客さんの時には優しく見えたけど、それは面接だから仕方ないと思っていました。
そして面接が終わりの方になり、何か質問はないかと聞かれました。
そこまで、あの待っている間に見せられていたサッカーの試合には何も触れられていなかったため、これは聞かなければいけないことなのかと思って、どういう意図があったのかを尋ねました。
すると店長はあそこのスペースには隠しカメラが設置されていて、面接に来ているのにサッカーを食い入るように見ている人がいれば不採用にしているということを言われました。
普段ならお客さんがいる場所に隠しカメラというのはまあ店舗だから防犯上のこともあるから仕方がない部分もあるかもしれませんが、サッカーを見てたら不採用は意味が分かりませんでした。
私はおそらく不採用になるほどテレビの画面は見ていないはずですが、これが面接に関係あると思って真剣に見ていた人もいたはずです。
この時点で私が採用される基準を満たしていたかどうかはわかりませんが、とりあえずサッカーについて聞いたことはポイントになっていたのか、多分その用紙のいい方にチェックを入れていたと思います。
その用紙に何が書いてあるかは見えないのですが面接官が顔に出るタイプなのかなんとなくわかりそうな感じでした。
実を言うと若気の至りかもしれませんが、それまで我慢していましたが、サッカーの話を聞いた時点で、ここでは働きたくないなと思ってしまいました。
その後も何か言いたいことがあれば何でも言ってくれというので、私は履歴書を持って行った時にお客さんを待たせていたことやホームページやブログが一年以上更新されていないことや面接時間の前に到着していたのに時間を過ぎても待たされていたことなどを話して、その店長の様子を伺いました。
ここで万が一、よく言ってくれたとなれば、採用後にここで働こうと考えました。
そうでなければ採用されたとしても断ろうと思いました。
結果はここまでこの文章を読んで来た方の想像通りだと思いますが、ダメだったパターンの方で、面接官は怒り狂い、俺は俺なりに頑張ってるんだぞみたいなよくわからないことを言っていました。
そこで、もう採用されることはないと思いましたが、万が一、面接後に冷静になって考えればいいことを言っていたと思われたり、他にいい人がいなかったり、採用になった人が断って欠員が出たりすればまだ可能性があるかもしれないので、丁重に採用しないで下さいと伝えて喫茶店を出ました。
その後、履歴書が送り返されてきてホッとしました。
その上で、私は今後その携帯ショップを利用することがあるでしょうか。
そのお店の代表である店長にこれだけのことがあって、他に店がないということがない限りは(なかったとしてもキャリアを変えたと思うけど)、もう二度と行くかという感じになってしまいますよね。
不採用になってもその企業を利用するか、それくらいのことは考慮して面接は行うべきだと思っています。
都会だったらそんなことをしなくてもいいかもしれないですが、不採用になったら消費者に戻る訳ですから、面接の時まで企業の裏側を見せる必要はないと思っています。
で、長々と書きましたが、この話には続きがあります。
以前に別の記事に少し書いたことがあるのですが、私はその後、不動産屋さんで働くことになりました。
その時に、その携帯ショップが入っていたビルと隣のホテルがリニューアルされることになったのです。
あまり詳しく書くと地元の方にわかってしまうかもしれないので、差し支えない程度に少しぼやかしますが、その新しいテナントにはその携帯ショップと別のキャリアが契約を希望してきたのです。
普通なら前に入っていたままの携帯ショップがそのまま入りそうなものですが、詳細はわかりませんが、そのリニューアルが契約期間が終わってからされたものだと考えられますし、少なくともそのビルのオーナーは私が働いていた会社の上司をとても信頼していて、どっちかを選んで欲しいと言われたそうでした。
上司はちょっと荷が重いなと思いつつも、なんとなく色んな人に今こういう話があってどっちがいいか迷ってると言ってました。
もちろん私も聞かれました。
私はなんと答えたでしょうか。
素直にその携帯ショップの面接を受けて落ちたことや、ホームページを一年以上更新していないようなところだったというのは伝えました。
私の意見だけが通ったとは思っていませんが、結果的にそのテナントに入ったのは別のキャリアの携帯ショップでした。
元々あった携帯ショップは皮肉にも私が面接を受けに行った際に、遠くまで停めにいった駐車場の辺りへ移動して、潰れていたコンビニをリニューアルして再開していましたが、いつの間にかなくなってしまいました。
これはあまりにもできすぎた話かもしれませんが、もうちょっとちゃんとしてたら今でもあそこにあの携帯ショップがあっても良かったはずです。
もっといえば、何かの縁で私が採用されていれば私の人生にも影響があったはずの出来事でした。
不採用になったり、採用されてもその会社を辞めれば消費者の立場になります。
それでもその企業を利用したいと思ってもらえるようにすることが会社の利益になることは明らかです。
仕事は厳しいものだとか言い訳にしてないがしろにしてはいけないことだと思うのです。
今回はこの辺で終わりにしたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
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