嵐のコンサートで起きたホテル予約のトラブル

22.6.17

 2005年に仙台のビジネスホテルで、実際の客室数を超過し、203室のところに4000件以上の予約を受け付けてしまったというのをニュースで見かけて、なんとなく覚えている方もいるのではないでしょうか。

 確か当時、仙台では既にいくつかの大きなイベントが予定されている中で、嵐のコンサートが発表された時に起きた出来事ということで話題になっていたと思います。

 このブログを読んでいる稀有な読者の方がいたらご存知かもしれませんが、一応私は過去にホテルで働いていたことがあって、このニュースを見た時に非常に違和感を感じました。

 その予約の超過はオーバーブッキングともいいますが、報道によるとその原因が予約が殺到しすぎたためにシステムがエラーを起こしてしまい、本来なら満室になって受け付けないはずの予約まで受けてしまったと伝えられていました。

 実際にプログラマーやエンジニアの方が、宿泊予約の管理ソフトなどでこういう設定をしてないと起きる場合があるといった例を載せていたのを当時読んだりもしたのですが、私が違和感を感じたのはそういったシステムのトラブル以前のヒューマンエラーがあったのではないかということです。

 先日書いた記事(『旅行代理店って儲かってるの?』)に大手インターネットの宿泊予約サイトの裏側を少し書いたのですが、今回はそこにも書かなかった別の裏事情から、あくまで推測に過ぎませんが、あの時の予約超過がこうして起きたのではないかと思う理由を書いてみたいと思います。

 上記の記事にも少し書いたのですが、ホテルの予約はそのホテルの規模や時期にもよるとは思いますが5割から9割くらいはインターネットの予約サイトを経由して入ってきます。

 逆にいえば客室の5割から9割は予約サイト用に部屋を用意していると考えることもできます。

 ところがこれはホテルの予約に関わらず、インターネットで物を売る時などにも起こり得ることかもしれませんが、例えば空室が50室あった時に、Aの予約サイトに30室、Bの予約サイトに20室という風にきっちり合計50室の空室を異なる予約サイトに出すかといえばそうではないと思います。

 おそらくAとBの2つの予約サイトのどちらにも50室の空室の情報を出して、その後の予約情報を見ながら調整していくことになると思います。

 この場合で考えてみますと実際は50室しか空室がないのにインターネット上では100室の空室があることになります。

 ちょっと例えが難しいかもしれませんが、これはまるで金融業界の金融派生商品(デリバティブ)のような、実際にないものが存在するという厳密にはちょっと問題がありそうな状態になっているということです。
 
 まずこのことによって、おそらく当時はサプライズのような形で、突然、嵐のコンサートが発表されたと記憶していますので、そこで急に予約がたくさん入る状況になり、担当者の客室調整が追いつかなかった可能性が浮上します。

 あとこれは自分も経験したことがありますが、繁忙期などでは宿泊予約サイトの管理画面が重くなって、ホテル側がログインできなくなることもありました。

 その時はホテル側が客室を調整できないのに、お客さんの側からは予約が可能な状態になっているのです。

 そのためオーバーブッキングを回避するために、自分で自分のホテルに予約を入れてからキャンセルするという手段もとったことがあるくらいです。

 おそらく当時はその比ではないくらいのアクセスがあったでしょうし、担当者がいたとしても何もできなかった可能性もあります。

 それでも203室のホテルに4000件越えの規模のオーバーブッキングが起きるのはおかしいのではないかと思う方もいるかもしれません。

 しかし、実はその4000件越えのオーバーブッキングだからこそ、私にはある大手の宿泊予約サイトのことが頭に浮かびました。

 もしかすると現在は対策などが講じられている可能性があるため、これから書くことは起こり得ない可能性がありますが、とりあえずは当時の時点ではそのままだったんだろうと思いますので、その辺の事情についても書いてみようと思います。

 前回の記事では、じゃらんnetのポイントが宿泊施設側にはひどかったということについて書き、既に対策済みだったため、時効的な意味合いで具体的な宿泊サイト名を書いたのですが、これに関してはもしかしたらまだそのままかもしれないのでちょっと名前を出すのは躊躇するところではあります。

 一応、問題があったら削除か伏せ字にしますし、あくまで既に対策済みだったら過去のことという前提で暫定的に名前を出しますと、楽天トラベルの予約管理のシステムには問題があると思っていました。

 先程の例では50室の空室があったらAの予約サイトに50室、Bの予約サイトに50室の空室をホテル側が出している場合もあるということを書きました。

 ところが楽天トラベルでは実際の客室数よりもはるかに多くの空室を出すことが可能になっています。

 例えばシングルルームが100室までしかないホテルがあった場合でも999室まで在庫を出すことが可能になっているのです。

 それどころか客室のタイプや宿泊プランごとに999室まで設定が可能になっているため、禁煙のシングルルーム999室、喫煙できるシングルルーム999室、朝食付プランのシングルルーム999室、その他のツインルームなどでも同様のことが可能になっています。

 ではどうして実際の客室よりも多く出すのか、メリットがあるのかと思われる方もいるかもしれませんが、これに関してはあくまで噂程度なのですが、楽天トラベル内では在庫(空室)が多いホテルの方が先に表示される仕組みになっているということでした(今現在はどうかはわかりませんが)。

 そのため、予約超過のリスクを負ってでも、実際の客室よりも多くの空室を提供することで、予約してもらいやすくしようということが起きるのです。

 もちろんこれはやってはいけないことですし、実際どの宿泊予約サイトでもおそらく約款とかに小さく記載して禁止していると思います。

 しかし要は、予約超過が起きたら、うちらは関係ないけどホテルの責任でなんとかしてねという宿泊予約サイト側の逃げ口上に過ぎません。

 これらのことを踏まえますと、ある日突然、嵐のコンサートが告知されて、予約が殺到したホテルの客室が実際のものより4000件も多い予約を受け付けてしまったというのも納得できるのではないでしょうか。

 私はその可能性の方が高いと見ています。

 この問題はホテル側が責任を持つという形ではなくて、ホテルや旅館に旅館組合があるように、いくつもある宿泊予約サイトで組合を作るなり、国が法律で定めるなどしない限りは今後も起こり得ることだと思っています。

 毎回、迷惑を被るのは何の罪もないお客さんの方ですから、消費者庁みたいなところでもいいので対策して欲しいと思っています。

 また従業員だった立場で考えても、ネットの予約は24時間受け付けられているため、担当者が不在の時に予約が殺到すれば対処することはできません。

 それはその会社が悪いのは当然ですが、企業は利益を追求するため、上司がそう決めたら仕方なくそれに従うしかない場合もあると思います。

 夜勤をしている人がパソコンを操作できるとも限りませんし、正社員ではない場合もあり管理画面にログインできないことも十分起こりえるため、実際自分もそうだったのですが夜中に電話で起こされて客室を調整したことが何度もあります。

 そうでなくても何の悪気のないお客さんが、ホテルに1つしかないタイプのお部屋を、もちろん事情は知りませんから、2つの予約サイトから1つずつ予約してきてやんわりオーバーブッキングになってしまったこともありました。

 もし今後も、同様の数千件規模の予約超過が他の地域やホテルで起きても、またシステムエラーなどの同じ言い訳をして対処することになるのだと思いますが、一応、一時期でも携わっていたことがある業界の裏事情だと思ったので、今回は告発する意味も込めて書いてみることにしました。

 逆にこういうことも起こり得ると思って頂けると、予約が取れたとしても念の為、ホテルに予約が入っているか確認を取るなどして、未然にトラブルを防げたりすることもあると思います。

 むしろ私の個人的な見解ですが、ホテルに直接予約が入っているか確認する際に、自分が融通の効く客であることを伝えることができれば、上手く行けばシステムエラーで断られることなく、他のホテルにそのままの料金で案内してもらえることもあるかもしれません。

 人気のタレントやアーティトのライブや大規模なイベントなどでは、特に地方だとホテル側にとってもある意味、非日常的な空気でその対応に当たることになるため、通常では起こり得ないミスやトラブルが発生することは割とあるように思います。

 そんな中で、変な話ですが、マナーのいいお客さんだったりすると、そのタレントやアーティストのファンはいい人が多いという感じになって、そのタレントやアーティストの好感度が上がることもあります。

 いずれにしても本来の目的のためにホテルを利用するのであって、目的が達成されることの方が大事ですから、お互いにトラブルがなく円滑に物事が進むことに越したことはないと思います。

 今回はこの辺で終わりにしたいと思います。

 最後まで読んで頂きありがとうございます。


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