旅行代理店って儲かってるの?

19.6.17

 以前、多額の負債を抱えて倒産した、てるみくらぶについて記事にしたところ(『てるみくらぶ破綻と新聞広告の謎』)それが今までで一番反響が多くて、ツイッターの方でも被害に遭われた方からのメッセージを頂いたりもしました。
 
 個人で匿名で書いているブログで、内容も特定の趣味や分野に限らない感じで割りと自由にやっているので、アクセス数は正直そんなに多くないのですが、その中では圧倒的にたくさんの方に読んで頂きました。

 ちょっとだけその時の記事の補足や頂いた情報の一部などを記載しますと、新聞の広告代は基本的に後払いらしい(自分で確かめた訳ではないので確証はありませんが)ということです。

 そのため新聞社も広告代を回収できずに損害を被っているということなのですが、それは記事にも書いたのですが、それならもっとマスコミが騒いでてもおかしくないような気もするので少し疑問には思っています。

 あと、やっぱり予想通り、この件は今ではニュースでは一切見なくなりましたので、やっぱり広告代はそれなりに入っていて、マスコミはそんなに長くこの問題をやらないんじゃないかと懸念していたのはその通りのような気がします。

 その時は書かなかったのですが、もしこのブログをよく読んでくれている稀有な方がいればご存知かもしれないのですが、私はちょっとだけ過去に宿泊施設に勤務していたことがあるので、旅行代理店と取引する機会がしょっちゅうありました。

 今回は当時のことを思い出しながら、旅行代理店って儲かってるの?と思った話やネットの予約サイトでのちょっとした裏話みたいなものを書いてみようと思います。

 あくまで宿泊施設から見た視点になるため、疑問に思うことなのかもしれませんが、ホテルの予約などは確か時期にもよるのですが5割から9割はインターネットの予約サイトから入ってきます。

 その前に他のホテルと自分がいたところの違いについて少し触れる必要があると思いますが、自分がいたところは大手でもなければ客室が100室に満たない規模の小さいところだったので、数百名規模の団体の予約が入ることはありません。

 そのためほとんどの予約は個人であったり法人であってもその会社の担当者(もしくは幹事)みたいな人から入ってくるような感じでした。

 そういう事情もあって、旅行代理店から予約が入ることはそれほどなかったのですが、逆に旅行代理店からたくさんの客室が欲しいと連絡が来るときには普通に何かのイベントで混雑が予想されていることが多かったです。

 繁忙期じゃなくても問い合わせがあるのは、地元で特定の業界や団体が集まる規模の大きな会議だったり会合がある時だったりして、そういう時は結局、他の一般のお客さんが部屋を確保できない状態になるので、無理してその業界の人の予約を取らなくても部屋が埋まったりします。

 また旅行代理店の方で様々なツアーを行っていて、ホテル代からは利益を取らないという場合があれば別かもしれませんが、そういうことはほとんどなくて、通常のホテル代にプラスして旅行代理店の取り分をお客さんに請求したり、事前にお客さんの方で旅行代理店の方に支払っている場合もあります。

 それで考えますと、一般のお客さんがホテルを利用する時に旅行代理店を経由して申し込むと通常のホテル料金より高くなってしまいます。

 逆に宿泊サイト経由で予約すれば、もちろん予約サイトにも手数料などのフィーというのが発生しているのですが、それでもフィーを含んだ料金が今の通常の宿泊代金になっているところがほとんどだと思います。

 しかも宿泊サイトには独自のポイントが貯まったり使えたりもするので、よりお得感が得られます。

 そこでちょっとだけ過去の宿泊サイトの裏話を書きますと、大手といえば楽天トラベルやじゃらんnetなどがあると思うのですが、どちらも会員にはポイントが貯まるようになっています。

 当たり前ですが普通は楽天トラベルでポイントを使えば、そのポイントの分は後日楽天トラベルの方からホテルに振り込まれている訳です。

 しかし、じゃらんnetはどうだったかというと、なんと振り込まれないのです(当時、嘘だろと思いましたが本当です)。

 そのかわり、じゃらんnetでは料金の10%までしかポイントを使用できないという仕様になっていたのですが、それでも考えてみてください。

 他のホテルとかに泊まって貯まったポイントをお客さんが勝手にうちのホテルで使用すればその分お金をもらえないことになるのです。

 1万円の宿泊代金なら1000ポイントまで使うことが可能だったのです。

 ということはホテルには9000円しか入ってきません。

 宿泊代金だけならまだいいと思います。

 例えば食事込みで1万で、食事は自社ではなく地元の有名なレストランで提供されるプランだったとします。

 そのうちの2000円をレストランに支払っているとすれば、レストランに割り引けなんて言えないわけで、8000円の代金から更に1000ポイント引かれた7000円分しかホテルに入ってこないことになります。

 こんな馬鹿な話はないですよね。

 これはもうとっくに変更になりましたが、当時お客さんの方から、じゃらんnetのポイント還元率が悪くなったとか改悪したという話を聞きましたが、それにはそのような事情があったということを知って頂ければ納得できるかと思います。

 確か熱海か京都だったか忘れましたが、どこかの地域の宿泊施設の団体からじゃらんnetに納得できず、担当者出てこいやみたいなこととか何度かあったのを観光関係のニュースや新聞で読んだことがあります。

 他にもネットの予約ではキャンセル料の取り決めが、ホテルのポリシーに任せることになっているため、実質的に請求することは難しく(あそこのホテルは取らないのにおまえのところは取るのかとなってしまうため)、これも豪華な旅館などでは食事に使う材料を事前に仕込んだりする手間があるため、キャンセルが発生してもキャンセル料を請求しづらいネット予約の、宿泊施設側にとってのデメリットが存在しています。

 しかしながら、これらの宿泊予約サイトのデメリットの分が宿泊料金に上乗せされているケースは稀だと思うので、それでも旅行代理店を経由した際の料金よりは安くなってしまうのです。

 ネットの宿泊料金より旅行代理店経由での料金が安くなるケースがあるとすれば、それこそ格安の旅行ツアーが行っているような、空室になるよりは最低限の料金で使ってもらいたい客室を確保して提供する場合などに限られるような気がします。

 私がいたところではよほどのことがない限りそこまでして予約を取る必要はない方針でやっていたので、そういう旅行代理店の提案はお断りしていました。

 それでもたまに世界中の旅行代理店から色んな問い合わせがきたことを覚えています。

 中でも担当者がアホだなと思ったのは、ゴールデンウィークに関するものでした。

 5月の連休に関してはヘタすると年明けの1月くらいから一般のお客さんから問い合わせがきますし、高めの料金でもすぐに埋まってしまいます。

 それを大手でもない初めて名前を聞くような旅行代理店の人が電話をかけてきて、空室を全ておさえて自分達に販売を委託しないかと言ってくるのです。

 勝手に埋まるゴールデンウィークの客室をなぜ見知らぬ業者に任せないといけないのか意味がわかりません。

 その時、空室は20室ほどありますよ、とだけお伝えしたのですが、次の日また同じ人が電話をかけてきて、じゃあ20室いいっすか?と言われたので断ると、昨日20室空いてるって言ってたじゃないっすか、とか言われました。
 
 空いてるのと貴社の予約を承るのとは話が別ですと言って丁重に断ったらめちゃくちゃ怒ってました。

 それでも日本の業者だったら厳密にはもしトラブルがあっても解決の手段はあったかもしれませんが、外国からの旅行代理店の問い合わせは、本当に会社が存在するのかやトラブルになった際には対応してくれるのかが不明な点が多く、途中から海外のお客さんは個人やその団体だけの予約を取るようにしていました。

 それらのことを踏まえた上で、旅行代理店って儲かってるの?という話なのですが、仮に1万円の宿泊代金のところを10%増で1万1000円にして、1000円が旅行代理店の取り分とした時、100人規模の団体客をさばいたら(あまりいい言い方じゃないかもしれませんが)、10万の売上になると考えればなかなか割が良さそうな感じはしますね。

 ただこれが会社での団体客だった場合に、自分たちで予約サイトを利用すれば、100万円の宿泊代金に1%でもポイントが付けば1万円分、ポイントが10倍のキャンペーン中だったら10万円分のポイントがもらえる訳ですね。

 会社の経費だったとしても110万円支払うのと、100万円支払って場合によっては担当者や幹事が10万円相当のポイントをもらえるとすれば、どっちを選択するでしょうか。

 もちろん旅行代理店には宿泊施設以外にも観光地や名所のツアーや交通手段などの確保もまとめてお任せできるという強みはありますが、私が宿泊施設で勤務していた頃の印象で考えると結構厳しそうだなと思っていた印象はあります。

 海外などの激安ツアーはまた別の話になるとは思いますが、そういう印象を旅行代理店に持っていたため、先日のてるみくらぶの破綻には何か思うところがありましたし、その負債の大部分が新聞広告代によるものだったというのは個人的には予想外でしたし、違和感を感じたことでもありました。

 ちなみに私は旅行業に関する国家資格は持っていないのですが(名前を忘れてしまった)、それと同等の権限を宿泊施設が持ってもいいみたいな条件付きの緩和があって、1日だけの講習を受けて試験を通って合格したことがあります。

 結局、自分がいた会社では旅行プランを販売することはなかったので特に意味はなかったのですが、逆にいえば旅行代理店じゃなくても、条件付きですが(確か地元のだけとかの条件だった気がします)旅行プランを販売してもいいことになっているということです。

 そのことからも旅行代理店以外にも選択肢は増えていますし、それでも滅亡するとまではいかないとは思いますが、旅行代理店でしかできないような独自の分野を開拓していかないと厳しくなっている感じではないでしょうか。

 それでも実施するつもりがないのに毎日のように新聞の一面広告を出してお客さんからお金を集めて破綻した、てるみくらぶのようなことは二度とあってはならないと思いますし、弁済金の取り決めも本来はもっと厳密に事業規模に応じてその額を上積みしないといけないようにするなど厳しく運用しないといけなかったのではないかと思います。
 
 そうした旅行業組合のようなところが厳しく規定したり、確かさきほど書いた資格の講習が国土交通省の関係で行われていたと思うので、不動産会社にもこうした積立金を用意する規定があるように法律的にもきちんとすることで被害を防いだり、お金が戻ってくる仕組みになって欲しいと願っています。

 今回はこの辺で終わりにしたいと思います。

 最後までお読み頂きありがとうございます。



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