水樹奈々にサインをもらった話

8.3.17

 これは20年はいかないくらいだと思うけど、それくらい前に、当時札幌に引っ越してきてバイトを探そうと思って履歴書とかの用紙を買いに出掛けた時に、偶然高校の同級生と再会しました。

 元々その同級生は札幌からの転入生で、それから札幌の大学に進学したため地元みたいな感じでした。

 そこで立ち話もなんなんでってことになって、飯を食いにいったり他にも色々な場所に案内してもらいました。

 それから、もし時間があるようだったら付き合ってもらいたいところがあるんだけどどうかな?って感じだったので、全然構わないよって感じでついていくことにしました。

 あえて、ちょっとその同級生というか友人が改めてそんな言い方をした理由は、その行き先がアニメ好きが集まるような店だったからです。

 今もあるのか知らないですがアニメイトみたいなところでしょうか。

 友人がアニメ好きなのは高校の頃から知っていたので、自分の趣味の場所に付き合ってもらってもいいかな?という感じです。

 それも声優のサイン会が行われていて、そこに一緒に行こうということでした。

 私はアニメは見ますけど、いわゆるアニメ好きという程の感じではなかったので、そういうところへ行くのは初めてでしたが、むしろ面白そうだと思いました。

 声優は林原めぐみくらいしか知らなかったので(他にも大御所の方は一通り知ってると思いますが)、 水樹奈々と聞いても全く誰かわかりませんでした。

 というかデビューして間もない頃の夏だったと思います。

 私が知らなくても既に人気があったようで、店舗はビルの中でも上の階の方だったのですが、行った時には列ができていて、係員の指示で、階段の列の一番後ろに並んだときには何階か下にいるような感じでした。

 そこで係員がメガホンだったかハンドマイクを持って説明していたのが、水樹奈々さんが出演しているゲームソフトかドラマCDみたいなやつ(確かアニメはないけど声だけで何かの漫画のストーリーになっているやつ)の中に同封されている紙を持っていないとサインがもらえず、握手のみの対応になるということでした。

 私は人気はありそうですが見ず知らずの声優さんのサイン会に並んでいるためサインはもらえなくてもいいやと思っていたのですが、サイン会に並んでからサインがもらえないことを知ったため、思わず「券がないとサインもらえないんだ。」と言ってしまいました。

 友人は持っているのか聞いてみたのですが、友人も持っておらず、しかし握手するだけでいいんだというようなことを言っていました。

 その私がサインもらえないんだ、というのを後ろの男性が聞いていて、良かったら1枚どうですか?と私に話しかけてくれました。

 とっさに申し訳ないのでいいですと断ったのですが、券が2枚あって、サインをもらうには1枚しか必要ないため、いずれにしても1枚の券が無効になるので、もらって欲しいと言われてしまいました。

 それならばと友人がもらえばいいんじゃないかと思って、それとなく小声で言ってみたら、友人は友人で、あの人は君にあげると言ってるんだから君がもらうべきだというようなことを言われて、俺は握手だけでもいいんだと言って断られてしまいました。

 それじゃもらった方がいいかなと思って、ありがたく券を頂くことにしました。

 そして列がどんどん進んでいくにつれて、係員の人が券の有無を聞いてくると、その1枚の券を渡して、サインに書いてもらうあなたの名前を記入して下さいと言われました。

 その時に友人の名前を記入して、あげれば良かったと、あとで思ったのですが、その時はそこまで思いつかず思いっきり自分の名前を書いてしまいました。

 そして先に友人の握手の番がきた後で、自分の番がやってきました。

 自分も握手してもらって、サインを受け取ると、何も知らない癖に、頑張って下さいと声をかけました。

 芸能人は頑張って下さいと言われると、おまえが頑張れと思うらしいのですが、そういうのも何も知らないため、どう思われたのか知りませんが、とても感じが良い人だと思いました。

 一応、その時はオタクっぽくない格好をしていたので、先の友人と後ろにいる券をくれた人は見るからにオタクっぽかったため、心なしか自分の時は表情が少しほころんだような気がしたんですよね。

 こういうのはライブで目が合ったというくらいの受け手の勘違いかもしれないですが、ちょっとだけ嬉しい気分になったのを覚えています。

  それからは友人に自分の名前が入ったサインをあげようとしたのですが、当然の様に断られて、引越しの時も持ち運び、今でも部屋のどこかに仕舞ってあります。

 その後もアニメや声優に詳しい人がいれば水樹奈々って知ってますか?と聞けばまず知らない方はいない有名な方なんだと再認識しつつも、紅白に出たり、今だと、青空レストランのナレーションもしているので、ああ、この人のサイン持ってるんだなと時折思うことがあります。

 あの頃からずっと声優や歌手として活躍されているんだと思うと中々すごいなと思います。

 そして、まさかその日に同級生と再会し、声優のサイン会に並んでサインをもらうことになるという不思議な縁についてもなんだか感慨深く思うことがあります。
 


 


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