プリンスのアルバム『Come』

23.2.17

 私がプリンスファンなのはツイッターの方でも公言していますし、今現在のツイッターのアイコンはプリンスの曲のゴールドエクスペリエンスのシングルバージョンのジャケットで背景はアルバムのイマンシペイションの一部が表示されています。

 そもそも今時点でのブログサイト名がThe Gold Experienceです(あとで変更したらすいません)。

 漫画のジョジョの第五部の主人公のスタンド名でもあります。

 前はツイッターのアイコンは全然違うものにしていたのですが、昨年4月にプリンスが亡くなってから喪に服す意味でも変更してみました。

 そろそろ一周忌になりますので、別のものに変える可能性もありますが、ブログサイト名とも共通しているためこのままでもいいかなとも思っています。

 さて、プリンスについて語ると長くなりそうなので、今回はその中のアルバム『Come』に焦点を絞って書いてみようと思います。

 まずこのアルバムは私が初めて買ったプリンスのCDです。

 発売したのが1994年で私は思春期の頃です(ばれてもいいけど学年を書くと年齢がばれるので割愛します)。

 このアルバムは大手レコード会社ワーナーブラザーズと契約で揉めているのが表面化し始めた頃のものです(揉めてるのはもっと前からだと思いますが)。

 そのためプリンス名義ではいったん最後の作品になります。

 その後は読めない記号に改名して元プリンスと呼ばれるようになりましたが、ワーナーとの契約は残っていたため履行せざるを得ない状態でした。

 おそらく自分自身の頬にSLAVE(奴隷)と書き始めたのもこの頃ではないでしょうか。

 ちなみにこのアルバムの名義はプリンス1958~1994という感じで、プリンスとしての生涯は終えたんだくらいの心境が表れているかと思います。

 ジャケットもモノクロで葬式っぽい感じを連想させるのは日本だけじゃないようですね。

 プリンスのアルバムをほぼ全て聴いていますが、自分が初めて買ったこのアルバムはなかなか異端のような印象があります。

 一言でいえば、とっつきにくい感じでしょうか。

 ところが色々とプリンスの曲を聴いているうちに、一週まわって、今は結構気に入っています。

 収録曲の一部を紹介して簡素に説明したいと思います。

 まず一曲目はアルバムのタイトルと同名のComeです。

 冒頭の海の波の音がザーって聞こえるのが、それまでもそれ以後も、ヒーリングミュージックとかでしか聴いたことがないかもしれませんが、その波の音とともにプリンスの語りで18歳以上ならおいで(Come)みたいなセリフとともに曲が始まります。

 そこからはサンプリング音のような一定の間隔で「Come」という女性の声が流れて、これがなんかカッコイイというかありそうで今までにない感じです。

 曲調はジャズだけど今っぽい洗練された感じで、DJがレコードをスクラッチする音とかも入っています。

 この一曲目の曲は10分以上ありますが、飽きるところがなくものすごくよくできています。

 よく音楽のサビの部分という言い方がありますが、サビの正確な定義が知りませんので間違った表現の仕方かもしれませんが、始まってから終わるまでずっとサビの部分が続いているような、それが言いすぎだとしても、そんな感じが当てはまると思います。

 プリンスのボーカルの音程も広域でファルセットボイス(裏声)から低音まであります。

 10分以上あるので、シングルカットなどには不向きだったり、時間を短縮させるのも違う感じがしますが、そのため商業的な大ヒットとはなりませんでしたが、もっと評価されていい曲だと思います。

 そして、Comeは終わりの方も決して、だらけていない、詰めもしっかりしている感じで、そのまま2曲目のSpaceへと続いていきます。

 Spaceはシングルバージョンがあります。

 シングルだけどリミックスバージョンみたいな感じでしょうか。

 実は長い間、Comeは一曲目を聴くと十分な感じがして2曲目以降を聴く機会があまりありませんでした。

 先述したように、このアルバムはとっつきにくい感じがしたのです。

 1曲目が10分以上というのもそうかもしれません。

 2曲目のSpaceはプリンスのボーカルの声が低くて、とっつきにくいという感じでしょうか。

 後半は高い音もありますが、基本キーが低い曲です。

 ただあらためて聴くとそれがいいんですよね。

 ベースの音もいいです。

 ベースの音に着目しながら聴くと、低音で歌っているのも、曲の完成度を高めるための工夫なのだという感じもしてきます。

 そこから3、4、5、と、またどれもそれぞれが独特なとっつきにくい曲が続きます。

 5曲目の「Papa」は歌詞に幼児虐待を反対するようなメッセージ性のある内容であることもとっつきにくい感じですが、後半は曲調が急に変わってすごいかっこいいですよね。

 6曲目の「Race」は人種差別をテーマとしたラップで、これも重いテーマですね。

 5曲目と6曲目に共通しているのは音の数が極力少ないということでしょうか。

 これがアルバムジャケットのモノクロのイメージにすごく合っています。

 僕を切っても君を切っても流れる血の色は同じだろ、みたいなのが歌詞のサビですかね。

 7曲目の「Dark」がまたモノクロのイメージですね。

 この曲のとっつきにくさは、テンポがすごくゆっくりで曲の時間も長めなことです。

 スローテンポでかつ、豊潤なとでもいいましょうか、じっくりとファルセットボイスで熱唱する感じです。

 これがまた今あらためて聴くとすごくいいですね。

 おそらくこのアルバムの根底にある、とっつきにくさというのは、商業向けではないけど、曲としての完成度が高いというものを集めたものなのかなと思ってしまいます。

 売れないかもしれないけど、採算度外視で良い曲を集めました、みたいな感じです。

 レコード会社とも揉めている頃ですし、自分の死を連想させる名義であることから、売れる売れないじゃなく遺言のような、本当にやりたいことをやってみたという気概も感じます。

 スティービーワンダーのSunshineの逆みたいな感じもします。

 軽快なリズムと真逆でスローテンポでシンプルでありながら、でも色彩は豊かで、闇から光が溢れ出してくるような名曲だと思います。

 8曲目の「Solo」はこれもとっつきにくいですが、プリンスの独唱で他の音がない非常にシンプルな曲です。

 そして、時折その独唱に合わせて雷が鳴ったり弦楽器のハープの奏でる音が聞こえてきます。

 9曲目は「Let it go」これはプリンスの曲名として意外な感じがします。

 ありのままで、なんて言わなさそうですよね。

 でもこれがまた独特でカッコイイんですよね。

 プリンスなりのLet it go なんです。

 あとこれは偶然なのですが、その思春期の頃に自分がこういう音楽が聴きたいなと頭の中に思い描いていた曲にすごく近かったんです。

 歌メロが始まってからサビよりも前の部分、歌いながらボーカルの音の高さが下降していく感じ、こういう曲を作ってみたいなと思っていたことがあるんです。

 でももうあるんだと思って、それから以後プリンスの音楽を聴き続けるきっかけにもなったと思います。

 10曲目最後の曲は「Orgasm」は最もとっつきにくい曲です。

 簡単に説明すると、一曲目のComeの冒頭にあった波の音やプリンスの語りナレーションはアルバムを通じて他の曲でもあるのですが、ここでは波の音がメインみたいになりつつ、エレキギターをかき鳴らした音とともにプリンスと女性のあえぎ声がほとんどです。

 このアルバムのCDを当時、同級生に貸したことがあるのですが、次の日、茶の間で家族と一緒に聴いてたから恥をかいたと言われたことがあります。

 その友人にはその次のアルバムのゴールドエクスペリエンスを貸すまで、プリンスがトラウマになっていたようです。

 やはり一つのアルバムだけでも結構な文章量になってしまいますので、そろそろこの辺にしようと思いますが、このアルバムが隠れた名作ではないかと最近思えるようになってきたので、今回はComeについて書いてみました。

 もしこのアルバム自体がボツになってしまって、プリンスの死後の現在に発掘されて世に出る形であったなら、ものすごく評価が高かったんじゃないかと思います。

 今、聞いても全然新しい感じもしますし、シンプルな曲が多いためクラシック的な要素で色褪せることもありません。

 初めてプリンスのアルバムを買うなら他のでもいいかもしれませんが、Comeから聴くのもおすすめします。

 一応、アルバムのリンクを貼って終わりたいと思います。

 
 



 




左側が日本で販売された1994年のもので、右側が輸入版かどうかわかりませんが2005年に再リリースされたものになっているかと思います。

中古で購入される場合はどっちでくるかわからないため気になるようでしたら販売元に事前に確認するのがいいと思います。


 


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