アラビア数字の形には意味がある

21.2.17

 以前ツイッターの方でつぶやいたことがあるのですが、アラビア数字の形に意味があるらしいことはご存知でしょうか。

 漢数字なら一、二、三、ローマ数字ならⅠ、Ⅱ、Ⅲ、と始めの方は数そのものを表している感じですが、アラビア数字だと1、2、3、と最初の1くらいしか数を表していない感じがしますね。

 そして先程、意味があるらしいと書いたのですが、私がそれを本で読んだのは、以前書いた記事の『小説家ベルナールウェルベル』の作品の中だけなので、もしかしたら作者の創作なのかなと思ってしまうくらいなのですが、結構ただの思いつきではない深い意味が込められているんです。

 ※上記のリンク先には各作品の説明や書籍を購入できるようにもなっていますので興味がありましたらお読み下さい(リンク先を読まなくても今回の記事だけでわかるようにしてあります)。

 アラビア数字は日頃よく目にしますし、その形に意味があることを知らずに過ごすのはなんだかもったいない感じがします。

 そこで今、私の本棚からそれが載っている作品を取り出して一部を抜粋してみようかと思います。

 その前に少しだけベルナールウェルベルの作品についても触れたいと思います。

  まず初めてアラビア数字に意味があることを私自身が読んだのは「タナトノート」という作品です。

 時期的にもその次の作品になる「われらの父の父」にもアラビア数字のことが書かれていました。

 その2つの作品はそれぞれ別の作品ですが、作中にはどちらも数字の1~5までの説明しか出てきません。

 どちらも今は5まで分かればそれでいいんだという登場人物のセリフで、6からの意味については載っていないのです。

 ところが、おそらく作品の順番からいけば「タナトノート」の前に書かれた作品にあたる「蟻」、「蟻の時代」、「蟻の革命」という蟻三部作があるのですが、最初の二作が出た後、三作目は日本語に翻訳されたものがありませんでした。

 「蟻」と「蟻の時代」だけ最初に翻訳版が出版されて三作目はずっと出ていなかったのです。

 それが時期的には「われらの父の父」のあとになって、角川文庫から三作ともあらためて翻訳されたものが出版されました。

 1~9までの説明が載っているのは「蟻の革命」だけのようです。

 今、久し振りに本棚から出して目の前にあるのですが、文庫本なのに800ページくらいあり、結構分厚いです。

 値段も文庫本なのに定価ならこれだけで1143円(税抜き)します。

 ではその部分を探して、一字一句ではありませんがだいたい意味が通じるくらいに引用してみようと思います。

 ありました。

 当時も気になっていたので、しおりを挟んでいたと思ったらそこにはなかったので最初からペラペラめくってみたら終盤の758ページの235(←段落の数字です)数字の威力というところに0~10まで書いてありました。

 0…空虚。孵化する前の卵。

 1…鉱物の段階。直線しかないということは動きがないということ。

 2…植物の段階。上部の曲線は花を表し下部の直線は大地に縛り付けられていることを表す。

 3…動物の段階。上部だけでなく下部の曲線は大地からも自由であることを表している。

 4…人間の段階。鉱物、植物、動物を越える段階。道が交差する場所。このまま動物のままでいたいか、もっと上の存在になりたいか、ふたつの選択肢を提示する。

 5…霊的な段階。2を逆さまにした形。上部の直線が空との結び付きを表す。下部の曲線が大地に向かっての愛(勝手に解釈すると慈悲みたいなことかな)を表している。

 6…空からも大地からも自由になり、らせん模様のように無限へと向かって伸びている。創造者の世界に入るという使命の始まり(の始まりは勝手な解釈です)で胎児を表す。

 7…過渡期の数字。4を逆さまにした形。物理的な世界の終わりと、精神的な世界の始まりが交差している(精神的な世界~の部分と、交差しているは勝手な解釈です)。

 8…無限。いつまでも続く様。

 9…胎児の形。6を逆さまにした形。胎児は現実世界に戻る準備をしている。

 10…最初の卵の形に戻るが既に次の次元に進んでいることを表す。

 だいたいこのような感じです。

 括弧内は自分の解釈も交えています。

 勝手な解釈は長い文章を要約している意味もありますが、本文ではここまでに至るストーリーとの関連付けであったり、元々原文のフランス語でも難しい表現の文章を翻訳しているであろうことから、自分なりにわかりやすくしてみたつもりです。

 一番良いのはこの小説のこの部分を読んでみるか、できれば1作目の「蟻」から読むといいかもしれません。

 この0~10の説明を見る限りでは、それ以後の作品では1~5までしか言及していないのはなんとなくわかるような気がします。

 0と6~10はかなり抽象的な話になりますから、小説の文中で使用する内容としては、明確に説明できる1~5までにして、4である人間は次の段階である5を目指そうというのでも十分のような感じもします。

 自分も今回の記事を作成するために久し振りに0と6~10の意味を読みましたが、当時はあまりよくわからなかったけど、今は結構わかるといえばわかる感じでしょうか。

 0は仏教では空を表していて、空虚とか無ではないというのは他の本で読んだことがあります。

 空とは簡単に説明すれば有と無の上位概念ですから(難しいか)、両方を含んでいるので逆に多すぎて数え切れないということもいえます。

 八百屋にあった3個のリンゴが3個ともなくなればゼロになりますが、リンゴがゼロになった時、その周囲には他の野菜や果物が並んでいて、八百屋があって、空には太陽があって道を歩いている人もたくさんいるかもしれません。

 リンゴがゼロになったことで、むしろリンゴ以外の世界が広がっているということが仏教的な0であったり空の説明かもしれません(間違ってたらすいません)。

 あえていえばアラビア数字が世界中で最も使われているデザインであるということが、もしかしたらその深い意味に込められているのかもしれません。

 
 
 ←一応、今回の記事に引用させてもらった小説を購入できるリンクを貼っておきます。アフィリエイトになっていますのでご了承下さい。

 

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