たまに幽霊の存在を頑なに信じている人と出会うと、どうやって説得してみようか考えることがある。
いきなり幽霊なんていないよって言ったら拒絶反応を示して、それ以後の話は聞いてくれそうにもない。
以前、カールセーガン著の「人はなぜエセ科学に騙されるのか」(上下巻)という本を読んだことがあるが、そこで興味深かったことを二点ほど思い出しながら書いてみる(かなり前に読んだので間違ってるかもしれないが)。
一つは、それが「ある」ことは証明できても「ない」ということを証明するのはかなり難しいということだ。
確か例として、自分の家のガレージにドラゴンがいないことを科学的に証明するのはとても難しいというようなことが書いてあったと思う。
逆にいえば本来は、幽霊の存在を信じていない人がいないことを証明するよりも、幽霊がいると思っている側が存在を証明すべきことだ。
自称霊能者や幽霊を信じている人がたくさんいるにも関わらず、誰にもその存在を証明できないということがまず、幽霊がいないことを表しているということができる。
もう一つ本に書かれていたことは、ほとんどの人が生きている間に一度くらいは不思議な出来事に遭遇するというものだった。
確かそういう統計をとっていて、かなりの割合で常識では説明できないような体験をしているというようなことが書いてあったと思う。
おそらくそれは当時の自分であったり周囲に誰かいるとすればその人たちにとっても説明ができないだけで、そのままその現象を録画している訳でもなく、同様の状況を再現できないため、不思議な体験として残る。
もしくはそこまで大げさに言わなくても、単純な勘違いでそう思い込んでるだけかもしれない。
しかし、説明できないからこそ、やはりあの時のあの体験は幽霊の仕業だと思い込む人がいることは十分ある得る。
その場合でも、それは消去法的に幽霊だと決め付けているだけで、幽霊の存在を証明したことにはならない。
そして、そういう話をしても幽霊を信じている人の心は覆ることがない。
だからやさしめにまず否定するのではなく、幽霊は心の中にいると譲歩してみる。
実際、幽霊が見えると言っている人がいれば、それは幻を見ているか嘘を言っているかのどちらかの場合がほとんどだからだ。
なぜそういえるのか簡単なのは、自称霊能力者や霊感が強い人を2名以上集めればすぐわかる。
何の打ち合わせをすることもなく(裏で相談してたらまずいが)、その場所にいる幽霊が同じか確かめてみればいい。
なぜか幽霊が見える人はそれを嫌がるので、そもそもそんな検証は行えないかもしれないが、普通は自分にしか見えないと思ってたものが他の人にも見えたら嬉しいはずなのに、霊能者同士は避け合う傾向にある。
それは霊というものが(見えてる人のパターン)、脳内現象だからだ。
例えるならば書きかけの小説のようなもので、作者の頭の中にしか存在していないからだ。
だから小説家が二人以上集まっても、お互いが自分の頭の中にしかない書きかけの小説の内容を言っても合うことがない。
逆に自分には見えないけど幽霊は信じるという人は、霊能者の頭の中にある登場人物やストーリーを聞いているだけだ。
だって、本当にその場所に幽霊がいたとして、普段何してるんですか?という話になる。
恨みを込めながら、ゆらゆらしてるだけなのか、たまにどこかにでかけたりしてるんでしょうか。
そして、たまに心霊写真や呪いのビデオに写っちゃったりするのでしょうか。
ここにもおかしな点があります。
霊能者や霊感の強い人などの特殊な能力を持っている人にしか見えなかったものが、現代の電化製品を通じて見ることができるようなのです。
家電メーカーの開発者はそんなことを考慮して作っていないはずなのですが、メーカーや機種に限らないようなのです。
幽霊を信じている人の間からどこどこのメーカーのあの製品は写るみたいだよという話も聞いたことがありません。
それでも見えたり写ったりするのなら、霊能力者はカメラを持参して、ほら今そこにいるのでレンズを覗いてごらんと見せてあげればいい話です。
心霊写真や呪いのビデオに映っているとされる幽霊には、共通の規格やサイズがありません。
どれも不規則で見る人を驚かせようとわざわざ協力してくれているかのようです。
大きいのもいれば、影の薄い感じのや、はっきり人だとわかるものまであります。
もし法律が変わって、心霊写真やビデオで捏造したら犯罪になり刑務所に入ることになればそういうものはなくなるでしょう(リスクを負ってまでやる人はいそうですが)。
おそらくデジタルカメラやビデオカメラは日本で使われているものはそのまま世界で使われているでしょう。
なのになぜか日本のカメラにしか幽霊は映らないようです。
海外でも同じくらいの頻度で映っていればYouTubeでも何でもネットにあげると思うのですが。
あと、幽霊が見える人についても考えてみることにします。
もし仮に、日本で幽霊が見える人が1000人いるとすればだいたい10万人に1人くらいの割合でしょうか。
日本の大学で科学を学んだ人が毎年1000人いたとして(もっといそうですが)、少なくともこの100年くらいで10万人になりますが、これまで歴史の中で、科学の知識を有しながら幽霊が見えて、それを証明できた人はいないようです。
海外を含めれば100万人以上はいるでしょう。
逆に、幽霊が見える人が科学的に証明しようとして、科学を学んで証明できた人も一人もいません。
それなのに、なんだか怪しげなおじさんやおばさんには見えるというのはどういうことなのでしょうか(国内外のメーカーを問わずに日本ではカメラに映るのも謎です)。
もっと突き詰めて考えてみることにしましょう。
今これを読んでいるあなたは幽霊がいるのか、それともいないのか、ということについて考えているとします。
でも何をどう考えたとしても、それは頭の中の出来事にしか過ぎません。
信じようが信じまいが、実際にいれば幽霊はいますし、実際にいなければ幽霊はいません。
そして実際にいることを証明できた人はいません。
これだけです。
カメラが進化して今では体温を見ることができるサーモグラフィーとか、暗いところも明るく見ることができる暗視カメラなど、人間の目では見えないものを明確に映し出す技術があります。
だけどたまに俺は温度が見えるとか、みんなには暗くて見えなくても自分にははっきりと肉眼で見えるという特殊な能力の人はいないのに、都合よく幽霊が見える人はたくさんいるようです。
それは嘘か脳内現象の錯覚です。
ということは本当の幽霊は誰も見ていないのです。
偶然それっぽく見えるか捏造を除けば、カメラにも映ったことがないのです。
仏教でもキリスト教でもイスラム教でも開祖が幽霊を見ていません。
たまに現世に仏陀やキリストが光臨されたとされる逸話みたいなのがありますが、示し合わせているわけでもないのに、そのどれもが幽霊ではないようです。
それでも幽霊を信じたいのであれば、それは脳内現象で、外側にいる存在ではないということだけでも心の片隅にしまって置いて、こっそり信じて人には言わない方がいいと思います。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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