最近、大手ホテルチェーンのアパホテルで南京大虐殺を否定している冊子が置かれていて、販売もしているようで、それを外国人観光客がYouTubeや中国版のツイッターに上げたものが広がって、ネット上で大炎上が起きたり、アパホテルのホームページがサイバー攻撃にあっているそうだ。
中国では南京大虐殺記念館というのがあって犠牲者は30万人と記されている。
これが本当かどうか、全く否定している説から多いもので20万人以上だという説などいくつも分かれていて論争の種になっている。
しかし一番多い説でも20万人以上ということは客観的に考えても30万は誇張だという印象を受ける(30万人も20万人以上にあてはまるが)。
ここまで意見や主張が割れてしまう最大の原因は、当時の正確な記録が残っていないということだろう。
例えば、虐殺が全くなかった、もしくはあったとしてもそれほどなかったとする説を主張する人の根拠となっているのが、当時の南京市の人口が20万人くらいだったところから始める。
20万人しかいないのにどうやって30万人を虐殺したのかとなる。
反対に、数万にから20万以上は虐殺されたと主張する人は、その人口から否定している。
それは南京市の安全区と呼ばれる地区の人口で、南京市全体は100万人以上が住んでいたとされるものである。
もっといえば南京市だけでなく、その周囲の広域にあった村などでも被害があり、それも南京大虐殺に含まれるべきだということで、被害者の数が増えている主張もある。
まず、人口からしてどっちが正しいのか、当時のことも歴史にも詳しくない私のような人間がみたら、それすらよくわからない。
そもそも人口が20万から100万人以上まで開きがある時点で何を信用していいのかがわからなくなる。
100万以上というのも相当アバウトではないだろうか。
101万人でも102万人でもだいぶ違う。
それだけの大都市の人口を正確に把握している資料がない時点で、何人殺されたのかということが議論にならないような気がしてしまう。
もちろん当時の日本軍が正確に何人虐殺したのか正確な資料を残していれば話は別だが、あるにはあるようだが、全体として正確なものは何も残っていないからこそ、推計になり、被害者の数にも開きが出てしまうのだろうと考えざるを得ない。
当時の写真も明らかに捏造だとわかっているものもある。
時期的にそれよりも以前の新聞に載っていた写真が使われていたり、そもそも軍服が日本軍のものではないなど様々な偽造写真があるそうだ。
その一方で、実際に毎日7000人規模の虐殺が行われているとは考えられないほど、和やかにも見える当時の南京市の日常の市民の写真もある。
いずれにしても戦時中の混乱で市民の管理が行き届いていたとはいえない状態で、当時のことを正確に数字で表すのはほぼ不可能だと思う。
そして、当時の手掛かりになっているものは、南京市に住んでいたり、滞在していた人の手記による記録によるものが多い。
または人づてに聞いたという噂レベルの話がほとんどだ。
そこに一つの疑問が生じる。
その記録を残した人や、現場を見たとかそういう話を聞いたという人は被害者ではないということだ。
死人に口なしと言うが、何万人以上も殺される状況では、ギリギリで被害を免れた者や、なんとかして逃げ切れた人が少なからずいそうなのもだが、そうした虐殺される可能性があった当事者からの証言がほとんどないように思われる。
だからといって、個人的には様々な記録を見る限り、虐殺が全く行われていないとは思わない。
ただし、正確な数はわからないし、30万人ではないと思う。
反対に、当時の南京市で市民による犯罪が何もなかったとも思わない。
記録に残っていることよりも、残っていないことで重要な出来事の方がたくさん起きていたのではないかと想像する。
もしかしたら将来、技術が発達して、そんな過去のことまで正確にわかる時代が来るかもしれないが、そうだとしてもそこで真相がわかったところでなんだか空しい感じがする。
数の問題ではないにしても、それだからこそあえていうならば、中国国内では共産党による自国民の大虐殺が行われたとされている。
3000万人から8000万人とされている。
今度は5000万人も開きがある。
これだけ、人口や死者の数に関して、大雑把なら、やはり南京大虐殺の30万人は話を盛りすぎてると思う。
日本軍のしたことに罪悪感を持たせたいだけなのかもしれない。
そうでなくても全く罪のないチベットの人たちも300万人が中国共産党に虐殺されたとされている。
それらのことで中国政府が謝罪したり、罪悪感でいたたまれないといったことは聞いたことがない。
だからといって、中国政府を批判するつもりもなければ、当時の日本軍が全く悪くないというつもりもない。
当事者でなければわからないことが多すぎる。
そのことに対して、過剰に罪悪感を感じたり怒りを感じたり、無理して結論付ける必要もない。
程ほどに、 色んな説があって、自分はこっちの方が本当っぽいなと思うくらいでいいような気がする。
南京大虐殺があったのか、なかったのか、どれくらいの規模で起きたのか、いずれにしてもそれを考えている大多数の人は当事者ではないし、虐殺に関与した加害者でも被害者でもない。
歴史学として興味があるなら突き詰めて考えてもいいかもしれないが、戦争責任という意味での議論はいつも不毛で結論が出そうにない。
だからこそ、南京大虐殺は争点にならないし、しない方がいい。
アパホテルの冊子は虐殺がなかった説の方を取り込んだ内容なのだろうが、その目的が何のなのかCEOはよくよくもう一度考えてみるべきだと思う。
中国を批判したいなら、中国共産党が自国民やチベットの人々を虐殺したことの方が争点になると思うし、日本軍は悪くなかったと主張したかったとすれば、それはもう明らかに反発を招くことを承知した上で冊子を作成するべきだったろうと思う。
いや、始めからそのつもりだったのかもしれないが、そうだとしても虐殺はなかったという主張もよくあるので、そこに乗っかる形で、それなりの見解がなかったとすれば、やはり本に書く必要はなかったのではないかと思う。
むしろ中国国民の怒りが日本や日本の企業に向かうことこそが中国政府の思惑通りになってしまっている可能性を考慮すれば尚更だ。
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